1973-06-01から1ヶ月間の記事一覧
[#5字下げ]二六[#「二六」は中見出し] 九月に、レーヴィンはキチイのお産のため、モスクワへ移った。彼はもうまる一月、なんにもしないでモスクワに暮した。そのとき、カーシン県に領地をもっていて、近く迫った選挙に非常な関心を有しているコズヌイ…
[#5字下げ]二一[#「二一」は中見出し]「いや、公爵夫人はお疲れになったらしいから、馬などには興味がおありになるまいと思うね」スヴィヤージュスキイが新しい牡馬を見たいといいだしたので、養馬場まで行こうと誘ったアンナにむかって、ヴロンスキ…
[#5字下げ]一六[#「一六」は中見出し] ドリイは自分の思いつきを実行して、アンナのもとへ出向いた。彼女としては、妹につらい思いをさせ、その良人に不快な感じを与えるのは、はなはだ不本意なことであった。ヴロンスキイといっさい交渉をもちたくな…
[#5字下げ]一一[#「一一」は中見出し] レーヴィンとオブロンスキイが、いつもレーヴィンの泊まりつけにしている百姓家へ着いたとき、ヴェスローフスキイはもうちゃんとそこにいた。彼は部屋のまんなかに腰かけて、両手を床几につっぱりながら、主婦《…
[#5字下げ]六[#「六」は中見出し] 子供のお茶のあいだ、大人たちはバルコンに腰かけて、何ごともなかったようなふりをして、世間話をしていた。そのくせ一同は、ことにコズヌイシェフとヴァーレンカは、否定的なものではあるけれど、きわめて重大な事…
[#2字下げ]第六編[#「第六編」は大見出し] [#5字下げ]一[#「一」は中見出し] ドリイは子供たちをつれて、妹のキチイ・レーヴィナの領地、ポクローフスコエでひと夏をすごすことになった。彼女自身の領地では、邸がすっかり崩れてしまったので…