1973-08-01から1ヶ月間の記事一覧
[#5字下げ]一六[#「一六」は中見出し] 弁証に経験を積んだコズヌイシェフは、それには反駁しないで、いきなり話を別のほうへもっていった。 「そうだね、もしおまえが数学的な方法で、民衆の精神を知ろうというのなら、その目的を達するのは、もちろ…
[#5字下げ]一一[#「一一」は中見出し] コズヌイシェフがポクローフスコエ村へ到着したときは、レーヴィンにとって最も悩ましい日の一つであった。 それは農村において、最も繁忙をきわめる労働期で、百姓ぜんたいが、他のいかなる生活条件にも示すこ…
[#5字下げ]六[#「六」は中見出し] いつモスクワを発《た》てるかわからなかったので、コズヌイシェフは義弟のところへ、迎えを出してくれるようにと、電報を打たなかった。カタヴァーソフとコズヌイシェフが、停車場で雇った馬車に乗って、十一時すぎ…
[#2字下げ]第八編[#「第八編」は大見出し] [#5字下げ]一[#「一」は中見出し] かれこれ二ヵ月たった。もう暑い夏の半ばであったが、コズヌイシェフはやっと今ごろ、モスクワを去るしたくをととのえたばかりである。 コズヌイシェフの生活には、…