『梶村秀樹著作集』完全復刊をめざす会・第6支部[ハンバンパク!!!]

名は体をあらわす。伝説の歴史家・梶村秀樹先生(1935年~1989年)の著作集の完全復刊をめざす会です。ほかにも臨時でいろいろ。

1960-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「死の家の記録」P289―292(1回目の校正完了)

になったかを事実に意識して、いかにも寂しい感じをいだかされたものである。新しいものに慣れなければならない、新しい世代を知らなければならない。わけてもわたしが飛びついて読んだのは、標題の下に親しい旧知の署名を見いたした論文である……しかし、そ…

「死の家の記録」P241―288(1回目の校正完了)

いて行って、労役の間じゅう、どこか近いところで餌をあさっているのだった。その組が仕事を終わって、帰途につくが早いか、彼らもおみこしを持ちあげた。要塞では、鵞鳥が囚人といっしょに労役に行く、といううわさがぱっとひろまった。『へえ、囚人が鵞鳥…

「死の家の記録」P193―240(1回目の校正完了)

で来たものを、一代や二代で切り捨てることはできない。いわば、母親の乳といっしょに吸い込んで、自分の血肉となったものを、それほど容易に拒否することができるものではない。そうしたお手軽な変革などはありえない。おのれの罪を自覚し、父祖伝来の罪悪…

「死の家の記録」P145―192(1回目の校正完了)

に、こう声をかけた。「このでくの坊め!」と彼は付け加えて、しょげかえったブールキンをさもばかにしたようにさきへ通し、またもやバラライカを掻き鳴らし始めた。 しかし、このむっとするような乱痴気騒ぎを、くだくだしく書き立てたところでしょうがない…

「死の家の記録」P097―144(1回目の校正完了)

うしているのもあり、十年のもある。その多くは強盗なのだ。その中にただ一人だけ、どうやら貴族出らしい男を見かけた。彼はかつてどこかで勤めていたとのことである。ひそひそとささやくような、しおらしい口のききかたをして、甘ったるい微笑を浮かべてい…

「死の家の記録」P049―096(1回目の校正完了)

ネルチンスクから逃げ出したのだと取り沙汰していた。シベリヤへ送られたのも一度や二度ではなく、脱走したのも再三再四で、名前も幾度か変えたものだが、あげくのはてに、この監獄の特別監房へたたき込まれたということである。また同様にこういう話もあっ…

死の家の記録 P005―P048(1回目の校正完了)

死の家の記録 フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)懐《ふところ》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)競争場|裡《り》[#]:入力者注 主に外字の説明や、…