『梶村秀樹著作集』完全復刊をめざす会・第6支部[ハンバンパク!!!]

名は体をあらわす。伝説の歴史家・梶村秀樹先生(1935年~1989年)の著作集の完全復刊をめざす会です。ほかにも臨時でいろいろ。

「おじいさんの戦争は終わったか」(1992年、近藤泰年、農山漁村文化協会)

聞き取り対象者は、著者の父・近藤美代次(→P127)氏。敗戦時は広東にて憲兵軍曹だった。



1921年:「愛知県濃尾平野のほぼ中央、三河との境にある尾張の小さな農村・東郷村」(→P001)にて生まれ育つ。

1940年10月ごろ?:「食糧増産協力推進隊」の名目で茨城県内原の満蒙開拓青少年義勇軍訓練所に行く。この「推進隊」というのは、義勇軍と異なるもので、臨時職員のような扱いだったようだ。加藤完治にも会っている。「加藤の話は精神論ばかりで面白くなかった」(→P013)とのこと(→P009~015)。

1941年6月:徴兵検査を受け、甲種合格(P025)。所属部隊は第三師団・豊橋第18連隊(幸三七一八部隊)(→038)。

1942年4月下旬:出征。宇品 から病院船「ぶえのすあいれす丸」(?)に乗って中国へ(→040~041)。

1942年 揚子江をさかのぼり、上海・呉松→南京→漢口(現:武漢市の一部)。さらに、山の中を「長軒嶺」を越えて「河口鎮」に行く。さらに、應山の飛行場にむかい、そこの警備に就く(→P043~047)。このころは特に大きな戦闘はなし。

1942年08月15日ごろ:浦口《ほこう》から満州にむかう(→P063)。このころ第18連隊は第3師団から第29師団に所属変更したという。参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A9%E5%85%B5%E7%AC%AC18%E9%80%A3%E9%9A%8A


1942年12月ごろ?:海城にいるとき、「満州新京憲兵隊教習所」に入学(~P068~069)。

1943年05月01日:「満州国」とソ連の国境にある半載河の憲兵分隊に赴任(P080)。ここでは、「向地情報《こうちじょうほう》」、つまりソ連側の情報を集めていた。取り調べ中の拷問死があったこと(→P082~083)が書かれている。
 半載河の近くにも日本人開拓団の開拓地があった(→P080)。

1942年夏(ムーリン川が氾濫する前):スパイ1名を「石井部隊(731部隊)」まで、「広田」軍曹と送った。

1944年04月01日:広東の南支那派遣憲兵隊に配属替え(→087)。同年04月~08月まで、湘桂作戦に憲兵として参加(→P087~094)。

1945年01月?:広東省・韶関《しょうかん》に行く。
 敗戦まで、ここで傀儡政権つくりを行う。

1945年05月ごろ:後で戦争犯罪に問われた、12人の中国人に対する「厳重処分」が行われる。「厳重処分」とは裁判なしでの処刑のこと。聞き取り対象者の「おじいさん」はこのとき病院にいて、処刑自体には参加していない。「おじいさん」がかかわったのは、「30歳くらいの男に対するスパイ容疑」。また関係する事件で拷問を手伝ったこともある(→P100~107)。

1945年08月15日:敗戦。憲兵隊では特に動揺はなかった(P110~112)。

1945年10月:「珠江の中にある島」に移される(→P114)。

1946年03月もしくは04月:河南の戦犯収容所に移される(→P119)
 ここで、上の「厳重処分」に関する取り調べがあった。結局、上官にあたる憲兵5人だけが裁判にかけられ、処刑された(P122~129)。

1946年?:日本に帰国(→P144)
1947年(もしくは1948年)?01月10日:戦犯容疑を恐れて家を出る(→P152)。
1947年(もしくは1948年)?03月ごろ:東郷村に帰る(→P155)。


[2013/06/03]

目次
けじめに――おじいさんの経験を、ありのままに………1

〈プロローグ〉 日本は最後には必ず勝つ………7
1、百姓の仕事と兵隊の仕事………16
2、殴られ、いじめられて新兵中国へ………25
3、揚子江をさかのぼる………43
4、俺たちは人を殺しにきたんだ………56
5、満州・新京《しんきょう》憲兵教習隊………64
6、国境の警備・スパイの摘発………78
7、占領地域の緊張………87
8、スパイ容疑の十二人を銃殺………95
9、広東・一九四五年八月十五日………110
10、お経を覚えておけばよかったなあ………119
11、死刑になった仲間の最後………130
12、故郷への生還………140
13、なおも逃亡の日々………152
〈エピローグ〉 その後の四〇年………157

おわりに――おじいさんの戦争は終わったのか………161

※本記事は「s3731127306の資料室」2015年01月24日作成記事を転載したものです。