『梶村秀樹著作集』完全復刊をめざす会・第6支部[ハンバンパク!!!]

名は体をあらわす。伝説の歴史家・梶村秀樹先生(1935年~1989年)の著作集の完全復刊をめざす会です。ほかにも臨時でいろいろ。

「朝鮮人強制連行」(2011年、岩波書店、外村大)

○目次○
 

はじめに……i
 
序章 朝鮮人強制連行を問う意味……001
 
第1章 立案調査と準備不足の始動……019
1 植民地期の朝鮮社会と人口移動……020
2 労働力不足をめぐる議論……033
3 法令の整備と動員計画樹立……038
4 労働者確保と処遇の実態……054
   
第2章 「余剰」なき労働力の実情……069
1 動員の展開と矛盾の表出……070
2 動員への懸念と異論……082
 
第3章 押しつけられる矛盾……103
1 朝鮮人労務動員制度の再確立……104 
2 日本内地の動員施策……118
3 困難になる朝鮮での要員確保……132
4 劣悪な待遇と生産性の低下……152
   
第4章 広がる社会的動揺と動員忌避……169
1 戦況の悪化と動員の拡大……170
2 朝鮮における徴用発動……183
3 機能不全の援護施策……191
   
第5章 政策の破綻とその帰結……199
1 本土決戦準備と動員継続……200
2 日本敗戦後の帰還と残留……209
3 被害者と加害者のその後……216
   
終章 暴力と混乱の背景と要因……223
  目標と現実の齟齬 224
  労働者軽視の経営 226
  曖昧な決定と迷走 227
  強力な統治の陥穽 229
  後手に回った施策 230
  動員のインフラの不在 231
  収奪の規制の欠如 233
  日本人中心主義 235
  マジョリティの不幸 237
  記憶すべき史実 239

あとがき……241
主要参考文献……243

略年表 5~8
索引 1~4


○概要○

・渡日朝鮮籍者の規制……P030~032、045~047、062//110~112
・動員の方法と実態……P047~049、051~054、054~062/077~079、088~092/112~115、116~118、124~137、141~142、143~145、145~148、149~152/177~185/204~206
・労働の実態……P063~064/077/152~157、159~160、164~165/185~190/190~197
・逃亡……063~064/077/157~158/179/
・労働紛争……065//161~163
・朝鮮内の労働関連諸機関の不足……P020~029、038~042///173~175、184~185、190~197
・動員されられる側の実態……P029~030////
・動員させる側の議論……P033~037、042~045、049~051、066~067/070~075、080~088、093~102/104~110、118~123、137~141、165~168/170~173、175~177/200~203

/は章ごとの区分を示す



P099 1941年時点での家族呼び寄せ
P149 ”徴用されないという差別”→援護なし
P152~157 劣悪な労働環境
P207~209 敗戦直前の民族関係
P214~216 著者は1959年時点で約6500人が連行された後に残留したと推定している。




○引用○
P013、「強制連行」の問題を深めていくには現代との関係を深めていくことが必要だということ

(中略)
 意外に、というのは、これまでの朝鮮人労務動員にかかわる研究では外国人労働者問題との類似性を指摘したり、それを視野に入れて考察したりするものは見当たらなかったためである。
(中略)
 そして朝鮮人労働者の導入や彼らの処遇、社会統合をめぐっては、今日の外国人労働者に対して日本社会に存在するようなものと似通った議論が――公開的に言論を公開する機会が限定されていたこともあって量的には相当に少なかったにせよ――存在していたことが確認できる。


P239~P240、本書の結論はここに言い尽くされている

 ただし、朝鮮人強制連行の歴史は、”朝鮮人のために日本人が覚えておくべき歴史”ではない。
それは、本書で述べてきたように、民主主義を欠いた社会において、十分な調査と準備をもたない組織が、無謀な目標を掲げて進めることが、もっとも弱い人びとを犠牲にしていくことを示す事例として、奴隷的な労働を担う人びとを設定することでそれ以外の人びともまた人間らしい労働から遠ざけられるようになっていった歴史として記憶されるべきである。





○索引○

015 ウラオモテの関係
022 金史良 短編小説「草探し」 金達寿 この時期に発表した小説「族譜」
028 「草探し」
029 「官庁では何でも数字ぢや」
077 金達寿の小説「防備録」
096 それがありえない話であることがあまりにも明白だった 「天水田」
098 しかしそのような社会的雰囲気が広がっていたという事実は確認できない 根拠のない不安をむしろ増幅させた
102 修正は行われなかった
110 「苦力」=中国人労働者の導入
114 金仁徳
118 採用拒否の自由は企業側にはない。
125 その過程についてはこれまでの研究をもとにまとめれば次のようである。
149 ”徴用されないという差別”
166 「一〇〇人入って来る中で五人位しか大東亜戦争のあることを知らぬ」
176 現実には根こそぎ動員が遂行されたという事実などどこにもないのである
182 「病気と生活難に因り殆ど瀕死の状態に陥つている実情を目撃」
183 軍慰安婦についての噂が広まっていたことへの懸念
187 自画自賛
202 需要が給源を一〇〇万人以上上回っているというのは異常
232 「朝鮮から来た者で戦争について知っているのは一〇〇人のうち五人」

※本記事は「s3731127306の資料室」2015年01月23日作成記事を転載したものです。