あたまの整理のために書いたひまつぶしの記事。
ドラえもんの毒舌には、連載全体の流れから、見落とされているものがいくつかある。すくなくとも、インターネット文化で観察されるかぎりにおいて。
大全集版『ドラえもん』第1巻で見つけられる、ドラえもんの毒舌を下に一覧にする。(ちなみに、大全集版第2巻、第3巻では、ドラえもんの毒舌はあまりみつけられなかったことをつけくわえておく)
『未来の国からはるばると(小学四年生1969年12号)』より
「君は年を取って死ぬまで、ろくなめにあわないのだ。」
『ドラえもんの大予言(小学四年生1970年1号)』より
「もともと悪かった頭が、いっそう悪く…………。」
『愛妻ジャイ子!?(小学三年生1970年2号)』より
「こんないやな人となんか死んでもけっこんしないわー、と思わせるんだ。」「チビデブといってやれ」「いまだ、なぐりかえせ」
『マル秘スパイ大作戦(小学四年生1970年5号)』より
「エッヘッヘ~、ごじょうだんでしょう」
『のぞきお化け(小学四年生1970年8号)』より
「ふしぎだ!のび太くんをさらってもお金になるわけじゃなし。」「毎日見ていて、楽しい顔でもなし。」「その生活をみならってためになるほどりっぱな人でもない。」
『ああ、好き、好き、好き!(小学四年生1970年9号)』より
「ブヒャハハハ。」「かくすなよ。しゃべれよ。けち。」
『未来から来たドラえもん』(小学二年生1970年1号)より、
(つうしんぼをみて)「やはりな。」
『オーケーマイク』(小学二年生1970年3号)より、
「なんてひどいやつらだ。」「ほんとのことをいうなんて。」
『まんが家』(小学三年生1970年4号)より、
「じぶんにむいたしごとをさがそうよ。」(略)「なあんにもないや。キャハハハ。」「けっさくウヒョホホホ。」
『おばあちゃんのおもいで』(小学三年生1970年11号)より、
「そのころから、なき虫だったんだね」
『ドラえもんだらけ』(小学三年生1971年2号)より、
「やろう、ぶっころしてやる。」
『のろのろ、じたばた』(小学三年生1971年3号)より、
「はっきりいえば、のろまだ、ぐずだ。」
以下のサイトを確認したところ、たしかに、いくつかの毒舌が見落とされている。(注、この動画は保存してある。)
https://www.youtube.com/watch?v=_JiJ_-hpHCA
https://www.youtube.com/watch?v=GIGPVC8nQCc
https://www.youtube.com/watch?v=XYqoX2-jCyU
https://www.youtube.com/watch?v=4MNU_9FyoZ4
https://www.nicovideo.jp/watch/sm5503223
とくに、『未来の国からはるばると』『愛妻ジャイ子』『マル秘スパイ大作戦』の作中にある毒舌が見落されている。前者はあまりにも有名だという一種の先入観があり、後者2作はF先生の模索の時期であり作風が確立していないため、排除されているのかもしれない。
しかし、全体を見てみようという挑戦精神があれば、毒舌が連載全体を通じて主要な題材であるらしいということがわかるはずである。
これはわたしの間違いならばと本気で心配しているのだが、どうも日本社会の挑戦精神、かつ、全体を見る目がおとろえていると強く思う。この件はまだ実害が少ないほうだ。
注、『けんかマシン』(小学四年生1970年3号)に、のび太が「入れじた」を入れられて「やいやいドラえもん、できそこないのポンコツロボット。」「まぬけづらのベロベロバー、チンチクリンのスットコドッコイ、アンポンタンのくそったれ」と言わされる場面がある。
注、『つくえからとび出したドラえもん』(小学三年生1970年1号)に、セワシがのび太に「スポーツもだめ、(略)なにをやってもだめ!」という場面がある。
注、『好きでたまらニャい』(小学四年生1971年2号)に、のび太がドラえもんに「きみが、」「なやんでる?」「ウヒウヒウヒ」「ゲシゲシシ」「ドヒャヒャ」と言う場面がある。
注、連載全体をみると、表面的には毒舌は減っている。しかし、それが作品のセリフをはじめとしたいろいろな部分に反映されているように読むことができる。これはのちの課題である。また、『オバケのQ太郎』までさかのぼって見てみると、落語の与太郎の役であるQ太郎(これはわかりやすい)と、その喧嘩友達のドロンパのセリフのやりとりがドラえもんの毒舌などに反映されているのではないかと思われる。