新しいものを認めさせるにはどうしたらいいか。
現在、世界中で、2つのパリ万博より印象派の作品群の方が価値が高い。しかし、どうやって人々にその価値を認めさせたのか?
いま手に入る情報から判断していこう。
ギュスターヴ・カイユボット - Wikipedia
Gustave Caillebotte — Wikipédia
Artiste Œuvres Retenues Non-retenues
Paul Cézanne 5 2 3
Edgar Degas 7 7 0
Paul Gavarni 1 0 1
Édouard Manet 4 2 2
Jean-François Millet 2 2 0
Claude Monet 16 8 8
Camille Pissarro 18 7 11
Auguste Renoir 8 6 2
Alfred Sisley 9 6 3
Total 70 40 30
メモ
要素
サロン、新しいものを欲しがる変わった客、画商、旧世代の権威(老害)
どこでどう妥協するか妥協しないか
具体的な70点の内容がはっきりしない。インターネットはこれだから困る。
カイユボットは、その言動を見るかぎり、金持ちの子どもだが、バカではなく、組織活動の維持などちゃんとまともな判断ができる。推測するに、70点すべてがフランス政府が受け取るとはおもっていなかったとおもっていなかっただろう。半分、半数、認められれば、あとから残りも寄贈できる、と考えていたのではないか。
ルノアール8点のうち6点が認められ、2点認められなかった。
ルノアール、サロンの常連。1891年にフランス政府から注文があり、1894年に「ピアノに寄る少女たち」がフランス政府に購入されている。おもしろいのは、史料を見るかぎり、ルノアールは妥協しているとおもっていなかったことだ。自分の作りたいものと顧客の要求がかなり一致している。たとえば肖像画。そういえば、印象派メンバーでルノアール以外の人物画はなかなか思いつかない。ドガは踊り子シリーズなどは風俗画といったほうがいい。
モネは16点のうち8点が認められ8点が認められなかった。わたしの印象だが、印象派の代表と言えば、ルノアールよりモネ、と一般的に思われている。ここでは認められ具合が逆になっている。これ、サロンで認められたかどうかがポイントだったのではないか? ピサロの作品も大量にはじかれている。モネの作品は画商と新しいものを欲しがる客には買われていたが、サロンにはほとんど出品していなかった。