『梶村秀樹著作集』完全復刊をめざす会・第6支部[ハンバンパク!!!]

名は体をあらわす。伝説の歴史家・梶村秀樹先生(1935年~1989年)の著作集の完全復刊をめざす会です。ほかにも臨時でいろいろ。

梶村秀樹先生についてわかっておくべきことリスト その2

梶村秀樹著作集第五巻収録、『日韓条約のゆくえを追跡します』(1965年)

 1[#「1」は太字] いわゆる「民衆自身がおった帝国主義の毒の問題」について。この問題をさけて通ることができないことは、多くの人が指摘するようになり、(略)
 ただ、ここで指摘したいのは、一歩進めてこの問題点への正しい着眼が、運動のなかでかえって一種の絶望ムードをかもし出していたきらいはないかということです。(略)
 私自身「アジア主義」の問題への発言などこの状況への責任のすくなくとも微々たる一端はおわねばならないので、どうしてこうなったのか考えざるをえませんでした。(略)ところが、指導的な理論家たちは、自己の理論を再点検するかわりに、いっせいに大衆意識に責任を転嫁し、グチをこぼしはじめたというように、私にはみえました。
 事実は、私のふれた範囲でも、青年労働者などのなかに、かなり大衆的に状況の理論的認識にもとづくエネルギーが、経済要求とも結びついて一定程度蓄積されていた、それが有効に組織されることなく終ったのでした。
 もちろん、行動に参加した大衆の主体意識のまだ弱い面は、探せばいくらも指摘でき、ことにおくれた帝国主義意識の克服はいよいよ重大な課題となってきました。(略)

梶村秀樹先生の原点のひとつは、ここにある。あまりに明白で、意外と見落とされる。大学の先生の論文ではちゃんと指摘されるが、インターネット上ではほとんど指摘されない。