1967年6月8日、東京都青山の岡本太郎宅を訪れた新井真一(1970年大阪万博事務方トップ)はこんなことを言った。
「先生以外には誰もほかに考えていません。(略)いま十億の予算があります。この予算を全部お渡しして、お任せしますから。どのようにお使い下さっても、口は出しません。もし絵を一枚描いて、これがテーマだよとおっしゃれば、それでも結構です。」
『岡本太郎に乾杯』(岡本敏子)、『「太陽の塔」新発見!』(平野暁臣)より。
わたしは、この発言を読んだ時、本当に驚愕した。
これこそ、まっとうなコミュニケーション、本当の本気のコミュニケーションなのである。いま、万博をやろうとしている連中のだれにも、このまっとうなコミュニケーションにならぶものが、かけらもない。
それどころか、マスコミも、インターネットでも、この発言は再度引用されていない。これはダラクである! わたしは、怒りと悲しみで破裂しそうだ! いまのいま、現在日本に住む人々にとって、この発言は、宇宙の果てより遠いものになっている!
わたしは、1970年大阪万博以後の日本、いや、世界は、新井真一の「決意」とそれに答えた岡本太郎の「決意」に負け続けていると確信している。
そうでないと説明がつかないことが多すぎる。
……つづく。