『梶村秀樹著作集』完全復刊をめざす会・第6支部[ハンバンパク!!!]

名は体をあらわす。伝説の歴史家・梶村秀樹先生(1935年~1989年)の著作集の完全復刊をめざす会です。ほかにも臨時でいろいろ。

梶村秀樹先生についてわかっておくべきことリスト その1(作成中、160以上ある)

梶村秀樹著作集』第一巻収録、『朝鮮語で語られる世界』(1975年)

日本人は、あまりにも当然のことではありますが、朝鮮の事を日本語でまず考えるようになる。朝鮮の事にかぎらずすべてを、つまり自分達を或いは世界を日本語によって考える。そして日本語の世界の中で朝鮮の事を考え、何となく日本語を通じて朝鮮のイメージを貯える。僕ももちろん例外ではなかった。それが勉強の過程で、そのようにして日本語で出来ている自分の頭の中にある世界ないしイメージと、朝鮮語によって語られる言葉の中にあるイメージ、世界というものが違うんではないのか、ということに気づいて驚きを感じたわけなんです。その違いをわかりやすく説明すると、例えばそれぞれの中で、朝鮮という国がどういうイメージで浮かび上がってくるかという点では、言うまでもなくはっきりと違ってくる。もちろん、ほかのすべてのことも、もっと分かりにくいこともあるが、二つの世界の間では、その位置や関係が一つ一つ決して同じではないのです。したがって朝鮮の事を本気で勉強しようとすれば、どうしたって朝鮮語で語られるその世界に入っていかないわけにはいかない。今から言いますとこれは当たり前の事、きわめて常識的なことかもしれません。それがたった一五年前にはかなり新鮮な発見であったという事です。一般に日本語で朝鮮をすべて理解しうると信じていた。そのこと自体驚くべき事ですけれど。

このテキストこそ、第一に読むべき、梶村秀樹先生の研究活動の基礎の基礎にあるものをよくあらわしている。インターネット上ではいままでほとんど引用されていないのが悪い意味でおどろきである。