「太陽の塔」を他政府にわたさなければならなくなるときがくるかもしれない。わたしはそれを恐れない。文化財の保存と文化財の精神の継承が=だというのは、ダダイズム以前の古い、いや硬直した考えかたでしかない。
そこで、わたすときに問題になるのが、「何円で渡すか」という問題である。ここで前提を徹底的に破壊すべきだ。日本政府と人民がすすんで金をはらって、他政府にわたせ! 1円でかまわない。これは「芸術」の実践であるかはともかく、ダダイズムの実践である。つまらないプライドは捨てるべきだ。
付記
岡本太郎という人は、ダダイズムと関係ないように思われるが、そんなことはない。むしろダダイズムに積極的に接近していたふしがある。『日本の伝統』の「中世の庭」がそれだ。ピカソとマティスだけとりあげていると、ダダイズムがぬけてしまうが、それは画面だけ見る偏った見方だ。