『梶村秀樹著作集』完全復刊をめざす会・第6支部[ハンバンパク!!!]

名は体をあらわす。伝説の歴史家・梶村秀樹先生(1935年~1989年)の著作集の完全復刊をめざす会です。ほかにも臨時でいろいろ。

「戦争責任とジェンダー:「自由主義史観」と日本軍「慰安婦」問題」(1997年、鈴木裕子、未来社)

○目次

戦争責任とジェンダー

序章 性と侵略―『福岡日日新聞』『門司新報』にみる「からゆき像」 007

第1章 「自由主義史観」批判               039
  「慰安婦」の「強制」とは何か 041
  今、耳傾けて記憶に刻むとき――「従軍慰安婦」削除派のトリック 054
  「自由主義史観」は時代遅れの男権主義である 064
  セカンド・レイプにほかならない 067
  歴史の歪曲「慰安婦」攻撃を許さない 076

第2章 日本軍「慰安婦」問題の現在           083
  責任者処罰と「慰安婦」問題 085
  「慰安婦」問題と戦後賠償運動  102
  「慰安婦」問題と戦後日本社会 115
  「慰安婦」問題と国際連帯 141
  国連・クマラスワミ報告書(「戦時の軍事的性奴隷問題に関する報告書」)の意義 169
  日本軍「慰安婦」(性奴隷制)問題は「国民基金」では終わらない 177
  日本軍「慰安婦」(性奴隷制)問題の新段階と反「慰安婦」キャンペーン 189

終章 戦争責任とジェンダー――「国民基金」を主に     233
 あとがき 246
 初出一覧(巻末)




○引用

   あとがき
 本書は、日本軍性奴隷制(「慰安婦」)問題について、わたくしが一九九四年ころから折にふれて書きとめたものを中心にまとめたものです。同じく未来社から上梓されている『従軍慰安婦・内鮮結婚』(一九九二年三月刊行)、『「従軍慰安婦」問題と性暴力』(一九九三年一〇月刊行)に引き続きお読みいただくことで、一九九〇年から今日にいたる日本軍性奴隷制問題の経過をたどっていただけることになるかと思います。
 この問題に向きあうことで、わたくしは多くのことを学ばせてもらったように思います。韓国や台湾の女性運動の力強さに触れ、国際的な女性連帯運動にも多少のかかわりがもてたことも貴重な体験でした。
 とはいえ、いまだこの問題は未解決のうちにあります。それゆえ本書も文字通り中間報告にほかなりません。日本軍性奴隷制・性暴力被害者の尊厳・名誉回復に向けてのより新たなたたかいが始まっています。新しいたたかいに向かっての、これまでの歩みの検証に本書が少しでもお役に立てれば願ってもないことです。
 一書にまとめるに際し、誤記や誤植などは直しましたが、基本的に発表時の文章をそのままのこしました。このため、あまりに顕著な重複部分は削除いたしましたが、文脈上、必要と思われる重複はそのままとしてあります。読者の方々には煩瑣に思われるかもしれませんが、ご諒解願えればと存じます。
 最後になりましたが、最初に発表する機会を与えていただいたうえ、こころよく掲載を許された関係者各位に感謝いたします。また、未来社編集部の石田百合さんには今回もたいそうご厄介をおかけしました。あわせて深謝する次第です。


     一九九七年八月一日
                                        鈴木裕子


初出一覧(初出時とタイトルが異なっているものがあります。)
序章性と侵略
  性と侵略――『福岡日日新聞』『門司新報』にみる「からゆき像」(『福岡県史近代研究編各論(二)』福岡県、1996年3月、所収)
第1章 「自由主義史観」批判
  「慰安婦」の強制とは何か(『日教組教育新聞』1997年4月29日・5月13・20・27日・6月4日号
  今、耳傾けて記憶に刻むとき――「従軍慰安婦」削除派のトリック(『ヒューマンライツ』1997年6月号)
  「自由主義史観」は時代遅れの男権主義である(『図書新聞』1997年5月31日号)
  セカンド・レイプにほかならない(『世界』1997年3月号)
  歴史の歪曲「慰安婦」攻撃を許さない(『週刊金曜日』1997年1月31日号
第2章 日本軍「慰安婦」問題の現在
  責任者処罰と「慰安婦」問題『フェミニズムと朝鮮』明石書店、1994年9月、所収)
  「慰安婦」問題と戦後賠償運動(『統一評論』1995年2月号)
  「慰安婦」問題と戦後日本社会(『未来』1995年8・9・10・12月号)
  「慰安婦」問題と国際連帯(『未来』1996年3・4・5月号)
  国運・クマラスワミ報告書(「戦時の軍事的性奴隷問題に関する報告書」)の意義(『部落解放』1996年7月号)
  日本軍「慰安婦」(性奴隷制)問題は「国民基金」では終わらない(『社会主義』1996年12月号)
  日本軍「慰安婦」(性奴隷制)問題の新段階と反「慰安婦」キャンペーン(『未来』1997年2・3・6・7月号)
終章 戦争責任とジェンダー
  戦争責任とジェンダー――「国民基金」を主に(1997年7月稿)



※本記事は「s3731127306の資料室」2017年08月07日作成記事を転載したものです。